都会的なセンスとカラー

976 Panamera HRE ragazziclub

いつもは技術的な説明が多いが、今回は我々がカスタムに向き合う根本的なマインドを説明しよう。
ポルシェを語るうえで、ボディカラーは欠かせない存在だ。1975年、930でデビューした「ガーズレッド」、911や928、944を彩った深いマゼンタ「ルビーストーン」、そしてフロリダの海を思わせる現代の「マイアミブルー」。これらの歴史とともに刻まれたカラーは、ポルシェの個性を際立たせてきた。
今回のボディカラーは新しく追加されたプロヴァンス。南フランス、プロヴァンス地方の壮麗なブドウ畑やオリーブ畑、ラベンダー畑の美しい景色がイメージされている。
日本ではそのようなイメージが湧かないかもしれないが、意外にそうではない。2024年に全世界で31万台を販売したポルシェだって、このボディカラーを纏ったほとんどの車が都会で使用されることは承知の上だ。
特に都心部では周囲環境が車の色を引き立て、ファッションの影響やお隣さんと被りたくないと言った理由からユニークなボディカラーが選ばれる傾向にある。そしてそのアップデートも早い。
フルモデルチェンジをした直後だと抵抗があるのに、数年経つと見慣れる現象と同じである。
そう言った感性が先述のボディカラーのように数年後、一周回ってかっこいい、むしろそのメーカーやモデルを象徴する愛されるカラーとなるのだ。

感性の進化

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人の感性は日々アップデートされていく。
人間が五感で感じるものは知らず知らずのうちに情勢や文化、流行などの影響を受け、変化し続けるものだ。
ネットやSNSが発展し、共通の趣味を持った人たちが直接つながり、自分の価値を伝えることができる。そんな個性が注目される社会だからか、オプションやボディカラーのラインナップは一昔前では考えられないくらい増えた。
様々なメーカーが個々に寄り添い、よりパーソナライズされた一台を作ることが可能だ。
もちろんコストや制作期間は通常よりも多くかかるが、それでも自分だけの仕様をオーダーしたいと言う顧客は世界的にも増えている。

‘bond’の役割とカスタムの未来

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そんなメーカーが提供するパーソナライゼーションと全く別のアフターの世界でのスペシャリストが融合して初めて顧客を満足させることができる。
我々は昔から車をパーソナライズするプロという自負がある。
なぜなら、インターネットが発展するずっと前から車と言う専門分野でオートクチュールを生み出してきたからだ。
いくつになっても若い感性を持ち、柔軟な考えを持ちながら個性を作り上げる。
bondが創造するのは、単なる見た目だけではなく、そこから生まれる体験や感情なのだ。
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Photos: ragazziclub
@ragazziclub