2026年 7月 の投稿一覧

BMW M5 Touring × BC FORGED

BMW M5 Touring G99 カスタム フロント

「ファミリーカーを買った」——そう言われて、この一台を思い浮かべる者はまずいない。

BMW G99 M5ツーリング。かつてない存在感を放つ専用エクステリアに、深く沈んだブラック。ワゴンでありながら、その正体はプラグインハイブリッドで武装した727馬力のモンスターだ。もはやスーパーカーの領域である。乗り換え元はX7、選んだ理由は“家族のため”。だが、目の前の佇まいはファミリーの二文字から最も遠い場所にいる。国内で本気のカスタムを受けたM5ツーリングは、まだ数えるほど。今回、bond shop Urawaがその稀有な一台に手を入れた。

BMW M5 Touring サイド ローダウンスタンス

エアロはCT Carbonのドライカーボンで固めた。フロントリップ、サイドスカート、そしてリアディフューザー。あえて最もスタンダードなVer.1で全体を統一し、純正のデザインラインをそのまま延長したかのような自然な佇まいに仕立てている。「純正のMパフォーマンスです」と言われたら信じてしまうほどだ。ドライカーボンは後から修正が効かないぶん、フィッティングがすべて。細部まで隙なく詰め切られた精度が、この一体感を生んでいる。車検の構造変更を要しない最小限のボリュームで、見た目の印象は最大限に。リアディフューザーは純正センサー類を移植し、バルブ付きの純正マフラーを囲うように造形。開閉はリモコンで操るという、芸の細かさである。

CT Carbon フロントリップ ドライカーボン

CT Carbon リアディフューザー クアッドマフラー

そして、この一台の主役へ。足元に選ばれたのはBC FORGED。

BC FORGED ホイール フロント

細身でシャープなマルチスポークを、2ピース構造のブラッシュド仕上げでまとめ、ピアスボルトはあえて見せるブラックタイプ。フロント11J・リア11.5Jをともに22インチで奢り、タイヤはフロント295/30ZR22、リア305/30ZR22。純正の20/21インチから前後を詰め、ノーマルフェンダーのまま295・305をツラでねじ込んでいる。フロントですらコンケーブが効くという、常識の外にあるフィッティングだ。

BC FORGED センターキャップ ロゴ

ここで、BC FORGEDというブランドを少し掘り下げたい。その本質は、レースの現場でも通用する品質と強度にある。とりわけ今回のM5ツーリングは、ハイブリッド化によって車重が大幅に増している。そこへ727馬力。並のホイールでは、この重量とパワーを受け止め切ることすらできない。BC FORGEDは一本一本を緻密に強度計算し、それを可能にする。デザインやサイズ、装着する車両によっては「強度が確保できないため製作不可」と断ってくることさえあるという——妥協なきものづくりの、何よりの証だ。性能とデザインを両立させ、なおかつ組み方・カラー・ピアスボルトの仕様まで、顧客の好みに応じて自在に組み上げる。同じ一台は二つと存在しない、完全なオーダーメイド。今回はサンプルを車の前にずらりと並べ、オーナー自身の目で選び抜いた。BC FORGEDは、これからさらに目が離せない存在になっていくだろう。

BC FORGED ピアスボルト Mキャリパー

ちなみに、ロゴの向きも、ロックナットの位置も、すべてきっちりと成列している。細部を揃える——bondが当たり前に貫く流儀だ。

BC FORGED リアクォーター コンケーブ

脚はH&Rでローダウン。純正の電子制御ダンパーを生かしたまま、絶妙な“一本分”を落とし込んでいる。これだけ攻めたツラでどこにも当たらないのは、自らも車高短を操るスタッフだからこそ成せる技。ワゴンならではの、落とした時のどっしりとした重心感がたまらない。

BMW M5 Touring サイドビュー

BMW M5 Touring リア 3/4

ファミリーカーの顔をした、727馬力のモンスターワゴン。その性能にもデザインにも一切妥協せず、BC FORGEDという最適解で束ねる。走りも、佇まいも、器も——そのすべてを欲張ったオーナーの我儘に、bond shop Urawaは完璧な形で応えてみせた。

BMW M5 Touring フロント 3/4

Alpine A110R × HRE Wheels

Alpine A110R カスタム フロント

まず、この一台が背負う「R」の意味から始めたい。
多くの者はレーシングのRだと思い込む。だが、違う。これはラディカル——“過激”のRだ。アルピーヌ A110の頂点ウルティムに次ぐ、最も鋭利なグレード。その名の通り、余分をすべて削ぎ落とした確信犯的な一台である。

車重はわずか1トンちょい。軽量ボディをミッドシップに組み合わせ、“走る”という一点のためだけに研ぎ澄まされている。R専用のカーボンリップ、ダクトを備えたカーボンボンネット、そしてルーフまでもがカーボン。高い位置から容赦なく肉を削ぎ、低重心へと振り切る。極めつけはリアガラスレス構造——ルームミラーすら持たない。それでいて公道を走れてしまうのだから、“規格外”という言葉すら生ぬるい。

標準でカーボンホイールにミシュラン カップ2、ザックスの脚にアイバッハのバネ。サベルト製6点式ハーネスのフルバケットが待ち構える、まるで戦闘機のようなクルマだ。

Alpine A110R サイドプロフィール

——そのA110Rを、あえて“魅せる”方向へ。

今回オーナーが求めたのは、サーキットへ振り切るのではなく、ストリートで際立たせるという選択だった。国内はもちろん、海外を見渡してもA110Rをカスタマイズした例はほとんど存在しない。前例なき一台に、bond shop Nagoyaは真正面から挑んだ。

Alpine A110R リアビュー カーボンルーフ

足元に選ばれたのはHRE。フロントがヴィンテージGTシリーズ「501GTM」、リアがヴィンテージシリーズ「501M」。どちらもグロスホワイトだ。フロント19インチ、リア20インチの前後異径。純正から1インチアップさせつつ、ウルティムが纏う前後異径のセオリーを丁寧になぞっている。

HRE ホイール フロント 225/35R19

この車、実はリムもコンケーブも“取れない”難物だ。だからこそあえてモノブロックを選び、限られた条件の中で最大限のフェイスを引き出した。うっすらと効いたコンケーブ、前後で統一された繊細なメッシュ——その表情は、まるでレーシングのエアロディスクを纏ったかのよう。パールの効いた白いボディに、白いホイール。狙いはただひとつ、レーシーに、そして美しく。

Alpine A110R フロントフェンダー クリアランス

タイヤは225/35R19。太く欲張るのでも、極端に寝かせるのでもない。スタンスにも走りにも振り切らない、その絶妙な塩梅こそが大人の仕立てだ。

HRE ホイール リア カーボンサイドスカート

こだわりは、見えない部分にこそ宿る。純正のザックス+アイバッハは、アジャスターを最下限まで落としても下がりきらない。そこでイギリスの専門ショップからA110R用のバネを取り寄せ、車高をさらに引き下げた。狙いの車高まで落とし込んだうえでアライメントを整え、フェンダーとハブ周りを実測してからホイールを発注する——世界に一台だけの個体だからこその、丁寧すぎる手順だ。結果、目を疑うほどのクリアランスでありながら、どこにも干渉しない。リアフェンダーはミリ単位で叩き込み、それでいて飛ばしてもノータッチ。脚が優秀で、余計な動きを一切しない。

Alpine A110R リア ディフューザー

インテリアにも手が入る。純正パドルはあまりに小さく、しかもコラムマウント。ならばと大型パドルへ換装し、操作性を一段引き上げた。ボディと同色のトリム、アルカンターラの質感——走りの塊でありながら、指先に触れるすべてが上質だ。

Alpine A110R インテリア ステアリング

走るために生まれた過激な一台を、美しく乗りこなす。
その矛盾を成立させたのは、オーナーの美意識と、それに本気で応えたbond shop Nagoyaの情熱に他ならない。

Alpine A110R カスタム コンプリート