
「ファミリーカーを買った」——そう言われて、この一台を思い浮かべる者はまずいない。
BMW G99 M5ツーリング。かつてない存在感を放つ専用エクステリアに、深く沈んだブラック。ワゴンでありながら、その正体はプラグインハイブリッドで武装した727馬力のモンスターだ。もはやスーパーカーの領域である。乗り換え元はX7、選んだ理由は“家族のため”。だが、目の前の佇まいはファミリーの二文字から最も遠い場所にいる。国内で本気のカスタムを受けたM5ツーリングは、まだ数えるほど。今回、bond shop Urawaがその稀有な一台に手を入れた。

エアロはCT Carbonのドライカーボンで固めた。フロントリップ、サイドスカート、そしてリアディフューザー。あえて最もスタンダードなVer.1で全体を統一し、純正のデザインラインをそのまま延長したかのような自然な佇まいに仕立てている。「純正のMパフォーマンスです」と言われたら信じてしまうほどだ。ドライカーボンは後から修正が効かないぶん、フィッティングがすべて。細部まで隙なく詰め切られた精度が、この一体感を生んでいる。車検の構造変更を要しない最小限のボリュームで、見た目の印象は最大限に。リアディフューザーは純正センサー類を移植し、バルブ付きの純正マフラーを囲うように造形。開閉はリモコンで操るという、芸の細かさである。


そして、この一台の主役へ。足元に選ばれたのはBC FORGED。

細身でシャープなマルチスポークを、2ピース構造のブラッシュド仕上げでまとめ、ピアスボルトはあえて見せるブラックタイプ。フロント11J・リア11.5Jをともに22インチで奢り、タイヤはフロント295/30ZR22、リア305/30ZR22。純正の20/21インチから前後を詰め、ノーマルフェンダーのまま295・305をツラでねじ込んでいる。フロントですらコンケーブが効くという、常識の外にあるフィッティングだ。

ここで、BC FORGEDというブランドを少し掘り下げたい。その本質は、レースの現場でも通用する品質と強度にある。とりわけ今回のM5ツーリングは、ハイブリッド化によって車重が大幅に増している。そこへ727馬力。並のホイールでは、この重量とパワーを受け止め切ることすらできない。BC FORGEDは一本一本を緻密に強度計算し、それを可能にする。デザインやサイズ、装着する車両によっては「強度が確保できないため製作不可」と断ってくることさえあるという——妥協なきものづくりの、何よりの証だ。性能とデザインを両立させ、なおかつ組み方・カラー・ピアスボルトの仕様まで、顧客の好みに応じて自在に組み上げる。同じ一台は二つと存在しない、完全なオーダーメイド。今回はサンプルを車の前にずらりと並べ、オーナー自身の目で選び抜いた。BC FORGEDは、これからさらに目が離せない存在になっていくだろう。

ちなみに、ロゴの向きも、ロックナットの位置も、すべてきっちりと成列している。細部を揃える——bondが当たり前に貫く流儀だ。

脚はH&Rでローダウン。純正の電子制御ダンパーを生かしたまま、絶妙な“一本分”を落とし込んでいる。これだけ攻めたツラでどこにも当たらないのは、自らも車高短を操るスタッフだからこそ成せる技。ワゴンならではの、落とした時のどっしりとした重心感がたまらない。


ファミリーカーの顔をした、727馬力のモンスターワゴン。その性能にもデザインにも一切妥協せず、BC FORGEDという最適解で束ねる。走りも、佇まいも、器も——そのすべてを欲張ったオーナーの我儘に、bond shop Urawaは完璧な形で応えてみせた。
